D1

都市とモードのビデオノートのD1のレビュー・感想・評価

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今まで観てきたドキュメンタリー映画の中で最も優れた作品だと感じた。

ドキュメンタリーとは対象者(物)のありのままを写すことで最も作品として輝くと思っていたが、この作品は全く違う。寧ろティムヴェンダースが否応なく映像に介入することで、「ヨウジ・ヤマモト」の全てをさらけ出すことに成功している。
そして、監督自身も「ヨウジ・ヤマモト」に魅せられ、調和していく様子が81分を通して伝わってきた。

アシンメトリーこそが美しい。というヨウジヤマモトに呼応する様に、左右非対称な構図をただ只管映し出していく。その技法から、クラシックとリアル、変化と不変など、一見対立するように見える要素を内包している「ヨウジヤマモト」・「ヴィムヴェンダース」の作品性を感じずにはいられない。

好きなショットは、3つ。
1.コレクションが開催されている手前でアシモとビデオでインタビューと制作過程の映像が流れる部分。
変化と不変、一瞬と永遠、不安定と安定という2つの楽器を同時に弾く。そうしたヨウジ・ヤマモトの言葉を活き活きと服に落とし込み、護り抜くスタッフ。この作品の全てがこのショットに詰まっている。

2.パリの二股に別れる川

3.東京の墓地の道

ゴダール、三宅唱、ヴィムヴェンダース(蓮見の言うショットが撮れる監督)は映像に鏡を組み込むのが上手いという共通点を発見できたことも収穫の一つ。

「大事なのはアイデアのフィニッシュ」という言葉は覚えていよう。
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