たむ

戦争と平和のたむのレビュー・感想・評価

戦争と平和(1956年製作の映画)
3.4
明日公開のドキュメンタリー『オードリー・ヘプバーン』を前に、オードリーさん主演のハリウッド超大作を鑑賞です。
50年代から60年代にかけてのハリウッド映画の黄金期は、とてつもない破格のスケールの超大作が多く製作されています。
本作は文豪トルストイの超大作の映画化で、CGもない時代に物量ととんでもない数の人を使って、ナポレオンのロシア侵攻を描き出します。
冷戦時代によくロシアが侵略者を跳ね除けた映画を作ったな、とも思うのですが、侵略者を倒す映画という意味では、ハリウッド映画の王道。
キャラクターも英語を話しているので、ロシアということを考えずに鑑賞していたのではないかとも思えてきます。

『風と共に去りぬ』のスカーレットのように、本作の主人公ナターシャも男勝りです。
これまでの慣習も気にせず行動するあたりは、いつの時代も求められる主人公像です。
今の映画で考えるとナポレオンが侵攻するまで120分近く使いテンポは非常にゆっくりと、じっくりと描きます。
人モノ金とはよく言いますが、戦闘シーンのスケールは凄まじいものがあります。

ただ恐ろしいのは、撤退するナポレオン軍の捕虜を虐殺して、追撃して全滅させようとするロシア軍の執念。
過酷な環境の中で行われる蛮行のクライマックスは、戦争の残酷さを描きます。

この時代の超大作の手作り感の巨大さは今の映画にはない、真の迫力というものを実感させてくれますね。
たむ

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