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ゴーストワールドのonisamのネタバレレビュー・内容・結末

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

イーニドに共感するに相応しい年齢でなくてよかった。私は街にいて、イーニドは街を出ていくことを受け容れられてよかった。
イーニドはたしかに、何者でもないのだが、彼女は何者にもなりたくないのだと思う。何者かという身分に定住することは、自分自身にとって不誠実だからだ。
働いたり、親友と同居したり、ふた回り上の会社員の恋人になったりというのは、安定した身分=何者かになれるということだが、それは自分を捨てることになる。自分の特別さを誰かから名付けられたり眼差されたりした時点で自分は特別ではなくなる。
イーニドはそうやって特別ではなくなった、自分を偽っているつまらない人のことも嫌いで、街を憎んでいる。シーモアを振ってしまうのもセックスした時点で自分の世界を大切にするシーモアではなく、セックスをしたただの男になってしまうから。
イーニドは街を出ることで、何者でもないことによって何者かになることを叶えたのだと思う。
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