Newman

サラの鍵のNewmanのレビュー・感想・評価

サラの鍵(2010年製作の映画)
3.9
フランス警察がユダヤ人であるサラの家族を逮捕しにきたときに、サラはとっさに弟を押し入れ(?)に隠し、自分がいいというまで出てきてはダメと約束させ鍵を掛ける。それが「サラの鍵」です。隠れた弟をのぞく両親とサラは逮捕されるのだが、その時の両親の言葉が気に入りませんでした。「一緒に来れなかったのはお前のせいだ」とサラを責めています。サラは一生懸命に良かれと思ってしたことだったのに。親なら「あの状態では仕方なかったんだよ」となぜ言ってあげられなかったんだろう。その言葉もあったし、自分が弟に出てきてはダメと約束したことからずっと弟のことが心配で仕方がない。その後サラは収容されていた所からもう一人の女の子と脱出し、と話は進むのですが、自分の身を守ることさえ難しかった時代に弟に言った一言がサラを追い込んでしまっているところが実にうまく描けていたなと思う。前線だけではない戦争の理不尽さ、そしてユダヤ人迫害の苛烈さを見て、現在のウクライナの状況はどうなんだろうと考えてしまった。心に響く映画でした。そして、この映画を見て、これならフランス人もドイツ人と同罪なんだと思った。フランス人は「ドイツ人に強制されただけ」と主張する人もいそうだけどそれを言ったらドイツ人も「ヒトラーに強制されただけ」と許してもらえることになってしまう。
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