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ロケッティアのくりふのレビュー・感想・評価

ロケッティア(1991年製作の映画)
3.5
【ジェーン・ラッセル不足】

先日、1930年代の飛行ショーを描く『翼に賭ける命』をみていたら思い出し、ちょうど中古DVDで見つけたのでつい、買ってしまった。300円だったかな。

お話は紋切り型の上、ジョー・ジョンストン監督の演出が段々息切れしてくるのでデキは今ひとつですが、お気楽で少しノスタルジック、楽しい作品です。中でも音楽はのびのびしていて文句なしにいいですね。

1938年の大戦前夜、「空飛べるランドセル」の争奪戦から生まれた、巻き込まれ型ヒーロー(笑)のお話。

アメコミが原作ですが、80年代生まれなのでタイツ穿いてマント翻すアホらしさはないですね。メカひとつでヒーロー化するコンパクトさが新しい…というわけでもないですが。

そもそも原作は、40年代の連続活劇を50年代にTVシリーズとして復活させた『Commando Cody』にオマージュを捧げたもので、すでに懐古な気分は抱えていたわけですね。

そんなせいかノリはインディ・ジョーンズあたりに近く、あれをディズニーらしく家族向けに均した感じです。

しかしヒロイン、ジェニファー・コネリー演じるジェニーへの視線は、ガーターストッキングを穿くアップから始まるオトナ向け。彼女の胸部ロケッティアに寄るアップもありますが、ジェニファーが殆どフェロモン出してないので微笑ましいねえ、で終わっちゃいます。

冒頭の田舎娘丸出しからは磨かれてゆくんですが、女優を目指す役にしてはキレイなお嬢さんレベルで留まります。ディズニー映画としては的確なキャスティングなのでしょうが。演出の妙より素材の鮮度で乗り切った感じですね。

主人公ビル・キャンベルの存在が薄いもので、より彼女に目が惹かれてしまいます(笑)。

本作はハワード・ヒューズが「空ラン」誕生に関わっていたという設定で、彼が絡んで来ますがそうなると、黒髪巨乳の駆け出し女優ジェニファーの役どころが、ジェーン・ラッセルに近づいてきます。

ジェーンが『ならず者』の制作でハワードと出会うのは1940年ですから時期も近いし、ここは『ならず者』近似作の制作現場を舞台にして、ティモシー・ダルトンの役もそこで活躍させた方がより求心力あったんじゃないか、と思いました。

ジェニファーのロケッティアもより、強調できるしね!(笑)

飛ぶこと、に関する拘りに貫かれている点は気持ちよく、その遊びも面白いですね。「空ラン」で初飛行するのが実はリンドバーグだとか(笑)。ティモシー出演の新作映画が『Wings of Honor』っていかにもな第一次世界大戦空の英雄ものだとか。

しかし音楽の雄大さに比べると、空を舞う開放感はさほど高くないんですね。「空ラン」の末路がハリウッドの破壊(笑)だったりするし、脳天気に飛ぶだけの映画でもないという。

ていうか本作、「敵」を徹底的に「始末」しちゃうのってディズニー的にどうよって思っちゃったけど。

クラーク・ゲーブルがゲスト出演していますね(笑)。あと、W・C・フィールズの映画は全くみたことがないので、今度チャレンジしてみます。彼がジェニファーのロケッティアを指して言う「Doubly charmed」がすごく気になってしまいました(笑)。

ところで本作も、しばらく前にリブートの話が出ていたけれど、その後どうなったんだろう?

<2014.6.7記>
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