Yui

ジャックのYuiのレビュー・感想・評価

ジャック(1996年製作の映画)
4.1
『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』映画界の巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が、若くして亡くなった息子に捧げた作品。

カレンは、夫ブライアンとの間に男の子をもうけるが、その子ジャックは、普通の人の4倍の早さで年を取っていく病を患っていた。月日が経ち、10歳になったジャックは外の社会に興味を持ち始めるが、カレンはジャックを家に閉じ込め、家族以外でジャックと話をするのは、家庭教師のウッドルフだけだった…。

久しぶりに無垢な気持ちになった気がする。ただただこの切なくて優しくて温かい世界に浸り、後半はとにかく泣いた。悲しい涙ではなく、切なくて優しいが全体的なポイントかな。

『ビッグ』を思い出すような設定だけど、ファンタジーのようで、原因はある種の病だという事。監督の息子さんが22歳の若さで事故で亡くなった事などを想うと、ストーリー、監督さんの想い、二重に切なく感じたし、生きることや亡くなった子供への想いなどを投影して観る事が出来た。

ジャックと友達との友情に凄く感動してボロ泣きだったんだけど、家庭教師の先生が凄く良かったな。子供が好きで、その理由も素敵だったし、彼から出てくる言葉が心に響き、残るものだった。この先生の存在は大きい。

ご両親も、特にお母さんが過保護なんだけど、気持ち分かるなぁって。そりゃあ過保護にもなってしまうよ。だって10歳だけど見た目おじさんで、でもそれ以外は10歳だから…外に出したら虐められるんじゃないか、傷付くんじゃないかって…不安だし、守らなければと私なら必死になる。

自分より先に歳を取って逝ってしまう息子…私は愛犬に重ねてしまったけど、監督さんがどんな想いでこの作品を作ったのか、作るに至ったのか、それを考えただけで胸が締め付けられる思いでした。切なさの中に優しさ、温かさを感じるのは、実体験を基に作られた作品だからなんだと感じる事が出来ます。

そして、ロビン・ウィリアムズ。
2000本目のレビューは、大好きな彼の作品にしようと決めていたのですが、やっぱり凄い。優しくてピュアなあの瞳。本当に10歳に見える不思議。他にこの役、誰に出来るんだよ…と思わせてくれる。(トム・ハンクスならいけるのかな…)そして、優しさと切なさ、儚さも魅せるべき所で魅せてくれる。天才過ぎる。改めて彼と映画が大好きだわ~と思わせてくれました。

重たい作品ではないので、是非。
悲しさもあるけど、爽やかさも感じます。


2022-145
Yui

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