チッコーネ

ポルターガイストのチッコーネのレビュー・感想・評価

ポルターガイスト(1982年製作の映画)
3.7
『悪魔のいけにえ』を気に入ったスティーヴン・スピルバーグが、プロデューサーの立場で監督を抜擢、という経緯があるのだとか。

デイヴィッド・リンチも80年代に『エレファントマン』とか『デューン』を撮っていたりするので、本作もそんな感じかと思って観始めたが、やはりかなり整理された作風。
新興住宅地が舞台で、家族愛描写が多めに盛り込まれているところは特に意外だったが、さまざま事情により本作を撮れなかったスピルバーグが撮影現場に現れては、ちょっかいを出しまくったらしい。
コメディ調の演出が多い前半は、霊障も主に子供部屋に出現。
おもちゃやぬいぐるみが媒介となった結果、オカルトよりファンタジックな雰囲気が前面に出ているのも、経緯がわかればなるほどという感じだ。

とは言えお休み前にハッパを吸う、高尚とは言い難い中産階級の生活模様も、露悪的に描かれる。
また心理学者や映像屋、そしてお祓い師が乗り込んでくる展開はいかにも下世話、しかしその中にハイプは皆無で、お行儀が良い。
そんなフーパーとスピルバーグのアングラ/メジャーパワーバランスが、決して悪くないのだ。
おかげで個人的には、終始楽しく観れたのだった。

ヴィジュアル・エフェクトはいま観ても良い出来。
また光や、役者陣の顔を震わせるほどの強風は、実写部分にリアリティを付加している。
幽霊に引き摺られ、天井や四方の壁を這い回るメインキャラクターを捉えた撮影も面白かった。
そして終盤の「もうひと山」に現れる数多の骸骨は、実物なのだとか…、少女の笑い声が跡をひくテーマ曲も、不気味で良い。