勝沼悠

ランド・オブ・ザ・デッドの勝沼悠のレビュー・感想・評価

ランド・オブ・ザ・デッド(2005年製作の映画)
5.0
 ご存知、ロメロゾンビ三部作の続編。地球上がゾンビに覆われてから数年後の世界を描く。

 ロメロが描いているのはゾンビそのものよりもそこから見えてくる人間だと思う。人間の愚かさ、駄目さ加減がテーマ。
 今作も人間の駄目さ全開。川で囲まれた場所で何とか生き延びた人々は、階層社会を作っちゃう。薬も買えない貧民層の人々、いい暮らしして高層ビルに住んでる金持ちたち。でもそんな金持ちの中には世をはかなんで自殺しちゃう人もいたりして、ほんと駄目(ちなみに自殺するとゾンビになっちゃうんでご近所に多大な迷惑がかかります)。
 今回はゾンビが知能を得ることで、ますますどっちがゾンビでどっちが人間なんだか感が増す。

 そんな中、異彩を放つのは主要人物の一人チョロ。咬まれたら確実に死亡するゾンビの中へ、銃でなく改造ボーガンを持っていく。当然連射の効く銃の方が安全なのに。。かっこいい!
 彼の目標はちゃっちい。お金を稼いでビルで暮らしたいだけ。そして裏切られてヤケを起こす。
 でも、ゾンビの感染して助からなくなった時、自分を殺そうとする仲間に対してチョロが言う 「待て、ゾンビのなるのも悪くない」 この台詞がすごい好き!人間は駄目だ。でもそんな駄目なままでいいんだっていう感じがする。
 愚かさを受け入れてその中で自由に生きていく。今までのゾンビにいなかった人物。

 DVD版にはロメロ監督のインタビューなどの特典映像がてんこもり。おもしろい。
 ロメロ監督デカイ。アメリカ版荒俣宏って感じ。無駄に大きい眼鏡もいい。

 万人にお勧めできる映画ではない。でも、怖いだけでないホラー、怖さの向こうにある何かを求めている人にはお勧め。
勝沼悠

勝沼悠