トリコロール三部作の2作目。
性的不能から妻に捨てられた男が、やがて成り上がり金持ちになって、妻に奇妙な復讐をするまでを描く…。
文章にすると、如何にもフランス的で性に特化した作品に見えるけれど、違う。
『青の愛』より断然好みだった。
ただ、思いのほかジュリー・デルピーの出番が少なくて物足りない。と言うかそもそも主役じゃ無かった。
けれど、人形のような可愛らしさとアンニュイさはこの頃が一番輝いて見える。
なるほど!『ビフォア・サンライズ~』の前年作。『青』のビノシュもだけど、劇中の姿はジャケよりうんと魅力的だった。
思いのほか軽妙にテンポ良く綴られているのは、一組の夫婦の愛憎。“愛に平等は存在するのか?”を主題にしたある種の復讐劇とは言え、決して血なまぐさい悲劇が繰り広げられる訳ではなく、悲喜劇的に描かれている。
フランスとポーランド、当時の社会的背景も描きつつ、兄弟愛や友情も絡めながらの一風変わった展開に引き込まれる。
これでもか!なクシシュトフな世界観は控えめで、音楽使いも程よく品良く好印象。
ジュリエット・ビノシュのカメオな登場は、隠れヒッチを探せ!みたいなワクワク感も。
何と言ってもラストシーンがとても良い!
巻き戻して何度も観てしまった。
あと、クシシュトフ監督は「運命」を描くのが上手い監督なのだと3作目にして理解した。