Maoryu002

スケアクロウのMaoryu002のレビュー・感想・評価

スケアクロウ(1973年製作の映画)
3.3
性格の違う2人の男が、片や洗車屋の開業を目指し、片やまだ見ぬ子供に会うことを目的に旅をするロードムービー。
1970年代のアメリカン・ニューシネマ特有の、自由でちょっと荒んだ雰囲気がいい。

ほとんど台詞のないオープニング映像だけで、ライオン(アル・パチーノ)とマックス(ジーン・ハックマン)の2人が全く違う性格であることを見せている。
特にマックスは偏屈で気性が荒いので、2人の関係がどうなるのか、観ている方は気が気でない。
そんなマックスは映画の始めに「俺は誰も信じない」と言う。そしてラスト、精神を病んだライオンにマックスは言う、「お前がいないと、誰を信じればいいんだ」と。
生きる目的を見つけづらい時代の中で、ただ一つ信じられる友情を見つける男たちの姿が、誇らしくも非常に寂しい。

本作、「セルピコ」「狼たちの午後」というアメリカン・ニューシネマへの出演で、アル・パチーノはどこか暗い独特の雰囲気を持つキャラクターが定着したといえる。3本の中では本作が一番地味ではあるが。
Maoryu002

Maoryu002