アラシサン弐

スケアクロウのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

スケアクロウ(1973年製作の映画)
4.0
男二人が他愛無い話を駄弁りながら旅する姿からどうしようもない哀愁を感じる。

意気揚々と夢を語ってるけど微妙にズレてる姿から、いかに世間から隔絶された価値観で生きてる人なのかが分かる。
結末も中々に残酷に突き放してくる。

ただ、そこから悲壮感や滑稽さだけではなくて、世間からズレてるなり男なりの成長譚として温かさも感じた。

アメリカン・ニューシネマの一群が台頭してる時代に、暴力を暴力以外で矯正させようとする展開は実は珍しいのでは?とも思った。

暴力で自分を抑えられない男が、自身の為でなく相棒の為に暴力を行使したり、その後に暴力そのものを断絶するようになったりと、男にとっての暴力の意味が変わっていく様子は、救いようのない話の中で僅かな希望を与えてくれるようだった。

「カカシ」っていう喩えもなんとも皮肉で秀逸。
カカシ見てカラスが笑ってるっていう馬鹿話が後々に効いてくる。
アラシサン弐

アラシサン弐