SANKOU

チャップリンの黄金狂時代のSANKOUのレビュー・感想・評価

チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)
4.1
正直で単純故に周囲の笑い者になってしまうチャーリーの姿が、おかしくも哀愁を感じさせる。
表現の幅が限定されたサイレント映画だからこそだろう、身体全てを使って表現するチャップリンの姿がシンプルでストレートに感動を伝えてくれる。
そしてシーンの一つ一つがとても印象に残る映画で、どっちに逃げても銃口が追いかけてくる小屋での古典的なコメディシーンや、雪崩で崖っぷちに流された小屋の中でのあたふたぶりがとても面白い。
ひもじさの為に靴を食べるシーンや、フォークを使ったダンスのシーンは名シーン中の名シーン。
新年のパーティーで浮かれる人々と対照的に、約束したジョージアを待ち一人寂しく窓際に立つチャーリーの姿が哀しみを誘う。
最後まで彼の真っ直ぐな姿勢が、波乱を起こし、災難を招きながらも、ささやかな幸福を引き寄せていくのはとても感動的だ。

個人的にチャップリンの「人生は近くで見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」という言葉にとても感銘を受けた。
この言葉を大切に、人生はどんなことが起こっても、必ずいつかは笑い飛ばせる日が来るのだと信じて毎日を生きている。

チャップリンの哀しみを笑いに変える強さは、いつだって人を勇気づけるのだ。
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