「ラスト・ダンス(破・地獄)」を見たら、どうしても思い出してしまいました。あちらが香港の葬儀業者のお話なら、こちらは日本の葬儀業者のお話。
葬儀会社は家族それぞれの別れの時間を作るための仕事で、別れの時間を作るということは旅立つ者も見送る者も家族や人生と向き合うことになる。という辺りは同じだと思うんですが、香港の「ラスト・ダンス」が後半家族の物語へシフトしていったのに対して、「おくりびと」は最後まで職業意識という点で徹底していた気がします。
映画のラストを遺体を美しく整える作業で締めていたのが、決定的ですよね。また、本木さんの所作一つ一つの美しいこと。この職業に美を感じるとか、精神性を求めるというのが、あんまり他の国にはない日本人の特性な気がします。
物語も最初は嫌っていた納棺師の仕事を段々理解して、やりがいを感じ、周りの理解も得ていく。そして、死と向き合うこの仕事が、自分たちの未来にもつながっていくという。徹底して仕事を中心とした物語だったような。
映画としてのシンプルさと淡々とした展開が、納棺師の仕事の崇高さを感じる作りになってるかと思います。
対して、「ラスト・ダンス」は後半は家族に焦点を当て、誰でも共感できる人間ドラマを展開していました。
色んな出自の人が居る多民族国家と単一民族の多い日本の違いもあるのかもしれませんが、
ここらへんが国の文化の違いを表してる気がして面白いな。と思いました。