ぷりん

ロレンツォのオイル/命の詩のぷりんのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

なにか考えさせられる映画を見ようと、
これを手に取ったわけだけど、その想像を
はるかに越えてくるほど所見を述べるのが難しい。

どこが難しいかというと、私がこの物語に対して、
どの視点から語っても、矛盾をはらんでしまう。

きっとこの作品に対して、「両親の努力が素敵だ」
とか「生命の尊さを感じられる」だとか、
そんなきれいな感想はいくらでも言えると思う。
でもほんとにそれで済ませていいのかなと感じる。

私はとてもひねくれてるので、美しいお話を
イヤな視点から考えたいなんて思いがある。
この物語も簡単にいえば、「両親が子どもの
治療法がない病のために努力を重ね、周囲の
人々の応援にも助けられ、病に対して治療法を
自力で見つけ出した。」っていう素敵なお話だけど、
途中で医者やいろんな人から反対を受けていた
シーンに対して、もっと考えなきゃいけないと思う。

映画内では、両親が、医者が臆病だとか、
信じられないとか言っていたけど、
それは少なくとも的外れな発言だと思う。

たとえ子どもが話せなくても、その子には
権利があるわけで、本当にその子は、
立証されていないオイルの投与に賛同したのか?
(もちろん賛同できるはずがないことは承知の上で。)
極端に嫌な表現をしてしまえば、両親は、
自分の息子で「人体実験」をしたことにならないか?
もしそれが失敗してたらどうなっていたか?
全てをきれいな側面から物事を語ってはいけない。

長くなったけど、この映画は、
医学の複雑で難しい実態を描き出し、
私たちに果たして本当の「倫理」とは何かと、
そんな鋭い喫緊の槍を突きつけてきたようだった。
ぷりん

ぷりん