takanoひねもすのたり

白夫人の妖恋のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

白夫人の妖恋(1956年製作の映画)
3.3
日本(東宝)と香港の共同制作の特撮伝奇物+異種婚譚。

中国の伝承『白蛇伝』を題材に林房雄が小説化したものが原作。

家族のお墓参りの帰りに若者の許仙は、侍女・小青をつれた美しい白娘と出会う。
しかし彼女は実は白蛇の精、許仙は濡衣をかけられたり、ヨリを戻したり、結婚したものの嫁の正体に怯えたり、一回死んだり、法師に助けを求めたら大洪水が起こったため「お前がここに来たせいだ!!」と弟子たちに水に落とされ命を落としたり、再度蘇ったり…というふんたりけったり恋愛物。

白蛇の深情けというか何度も足蹴にされても慕う恋心の執着。
「妖怪め!」と謗られ、避けられ、逃げ出されても、ひたすら一途に追う白娘。

「あんな不実な旦那様なのに、お嬢さまは!見損ないましたわ!!!」
と、終盤でとうとう侍女の小青がキレて去ってしまうほど。

特撮を売りにしていたわけでは無かったようですが、ともかく冒頭からセットの凝り具合、終盤の大洪水の撮影、そしてレトロ感のあるパステルカラー映像は、観た甲斐がありました。

許仙が決心があっちこっちふらふらするので、もうお前は、愛情なのか、妖怪のストーカーから開放されたいのか、どっちなのか腰をすえろぉおおおおお!
と何度か思いましたが、古典の伝奇、伝奇。
(落ち着け)

とにかく俳優さん方はもちろんですが、美術や撮影の裏方さん達の技術に感嘆した作品でした。