B姐さん

未来を生きる君たちへのB姐さんのレビュー・感想・評価

未来を生きる君たちへ(2010年製作の映画)
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「復讐」「赦し」をテーマにした映画で、大風呂敷を広げる事なくごく普通の日常の物語(“非日常”もあるが)として描かれる。そして映画はずっと問いかけてくる。「お前ならどうする?」「子供に聞かれたら何て答える?」と。

とにかく観ている最中から登場人物の男の子(クリスチャン)の顔がトリュフォー作品のアントワーヌ君に見えてしかたがなかった。「大人は判ってくれない」と思っている子供たちは「空洞」を抱えたまま日常を生きている。内的な問題は自分だけの問題とし、内的に処理をする。内的な関心事にしか心は動かない。港にある塔に登ってはるか向こうの景色を観ても、デンマークの海と暴力に支配されているアフリカの難民キャンプが“地続き”だってことは想像もできない。それは“今日の大人たち”も同じだったりする。もちろん自分を含めて。

この「行き止まりの海岸」からはもう逃げられない、というのははわかっている。ではどうすればいいんだろう?「苦い世界」の現状を受け入れて、学び、考えて、現実と戦う決意(もしくは術)を持つということか。そしてそれを教えることだろうか。
子供が納得する言葉を持つことは、本当に難しい。

DVD(3/28/2015)
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