イチロヲ

16歳 妖精の部屋のイチロヲのレビュー・感想・評価

16歳 妖精の部屋(1977年製作の映画)
4.0
信州の片田舎で父親と一緒に暮らしている少女(早瀬しおり)が、スナックを経営する母親(吉川遊土)との再会をきっかけに、大人たちのセックス群像に触れていく。少女の通過儀礼を描いている、日活ロマンポルノ。正月のエロス大作。

特殊な家系図の中に置かれているヒロインが、出生の秘密を探るついでに性の在り方を学び取る。主演女優の早瀬しおりが、少女と大人の中間のような妖力を解き放っており、アイドル性も抜群に見えるのだが、残念ながら劇映画の出演は本作1本限り。

主人公の気持ちを汲み取ることができない厳格な父親役を内田良平、主人公に「大人の児戯」を教示するメンター役を宮井えりなが熱演。主人公が最初から奔放な性格をしているため、心の変遷が伝わりづらいという難点あり。

男に翻弄され続ける母親の生き様に対して、少女が仄かに同調していく過程が大きな見どころ。「男性向けの成人映画だからこそ、女性をきちんと描かなければならない」という、ロマンポルノ製作者の気概が伝わってくる。
イチロヲ

イチロヲ