塔の上のカバンツェル

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦の塔の上のカバンツェルのレビュー・感想・評価

3.5
スピ映画の中では異様にハイテンションな映画でビックリした。
トンネル内での戦闘機とのカーチェイスや、ヒトラーとのサイン会、戦車の潜望鏡を使ったギャグなど投入されるコメディとジョーンズ達のテンションが前シリーズよりやけにハイで若干驚く。

【マークⅦ戦車について】

今作で印象的な"戦車"チェイスを繰り広げるのは、WW1で開発された英国のマーク1戦車の派生型であるMark VII(マーク7)という車輌。

1938年の設定なのに、何故独の一号戦車ではなく、WW1期の英国戦車をチョイスしたのか謎だったけど、これはインディシリーズの乗り物の上で戦うイズムからの要請なのかしら?
トラック、列車、爆撃機と動いている乗り物の上でインディは毎回戦っているけど、ある程度の人数で格闘するために車輌幅のある本車が選ばれたのではないかという推測。

史実ではWW1に投入が間に合わなかったニッチな戦車であるマーク7だけど、実車にはない回転砲塔が追加されてはいるものの、特殊効果担当のジョージギブスにより各種ギミックの備えた28トンもするレプリカが製作され、銀幕で活躍する姿を観れたのは楽しい限り。

歴史的に中東でのマークシリーズの活躍は、英軍がガザの戦いに派遣した数量に留まるのみだけども、
映画の車輌は現在はフロリダのディズニーワールドで展示されているんだそうな。
何か感慨深い。

戦場の主役を奪われた騎兵vs戦車の構図というロマンは、後年のスピ映画である「戦火の馬」で馬が本作の先祖であるマーク4戦車を踏み越えていくというシーンでも描写しているので、スピの好きな要素なのかもなとも。

【世界史ポイント】

ヒトラーやツェッペリンを初めとする史実の要素との接続は後のルーカスのヤングインディの企画の布石となっていたり、キューベルワーゲンに場違いな軍服美女というシチュエーションは「炎628」オマージュぽくてナチ映画としても割とそこも楽しめた。


本作で1番心に残ったのは、700年間聖書だけ読んで時間を潰していたおじさんが最後にしょんぼりしながら手を振ってくれるところです。


【参考文献】

「私家版戦車入門1: 無限軌道の発明と英国タンク」大日本絵画 出版

【参考メディア】

https://tanks-encyclopedia.com/fictional-tanks-hatay-heavy-tank/amp/

https://youtu.be/9Yyw5Ul13E0

https://www.tanks-encyclopedia.com/ww1/USA/Mark-VIII-Liberty.php