塔の上のカバンツェル

猿の惑星/キングダムの塔の上のカバンツェルのネタバレレビュー・内容・結末

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

エイプ、イブ、ストロング、トゥギャザー‼︎

映画好きの知人と観に行った。

前作(?)マットリーブスの「聖戦記」は3回ほど見直すほど結構好き。
最近の猿の惑星シーザー3部作は、革命、開戦、そして終戦…とシーザーの英雄譚としても猿文明の創世記としても、かなり万感のフィナーレで完結していたはず…。

そして本作、お土産は少ないけど観に行って損はないぐらいの丁度良い作品にはなってた。

宗教や思想の初代創設者の"教え"が次代に重なるにつれて、最初の教訓がいつの間にか本来の形を変えて、いくつも時に分派し、時の為政者に利用される様は、本作のメインテーマとして面白かったあたり。

一方で、シーザーのオリジン3部作は猿の惑星というジャンルの土俵で、猿がライジズする過程を丹念に描くと言う、企画の段階でなぜか誰も止めずに最後までやり切ってしまった変なシリーズではあると思うんだけど、ちゃんとオリジナリティが発揮できたサーガでそこが稀有。
何より、人間は馬鹿すぎるから、本来は実在しない猿陣営にめちゃめちゃ感情移入できるし応援しちゃうという…結構野心的な試みが成功しているのは素直に凄い。
シリーズ中に何人ものゴリさんが死ぬとこでオンオン泣いてる。

対して本作はどっちかって言うとチャールトンヘストン版の初代旧作への目配せが多かったなぁ。
ただ、人間文明のヤダみを反転させて皮肉をこめた古典SFの初代「猿の惑星」なら、俺たちは人間の真似をするんじゃない、俺たちの道を歩む、っていう選択の結果としての鷲部族文化なので、そこは本作の独自路線って言えばそうなのかな。

猿のコミニュティはボス同士の筋肉暴力が優った者が勝つセオリーに対して、ノアと鷲と周囲の仲間たちが同等に敵ボスを撃ち倒したのは、全猿共同参画社会の新たなる一歩だったのだろうか。

個人的にはどこかオールCGのゲームチックな森林都市の画づらより、「聖戦記」のロケを挟んだ地に足がついたシネマトグラフィの方が好み。

でも最期まで未来に目を向ける猿と、現実の選択の中に常に暴力を忍ばせる人間との、こりゃ分かり合えねぇ〜な苦いラストは結構好き。

しかし、こっから人間との全面戦争またやるのかなー?もう「聖戦記」でやり切ったとは思うけど…。

メイが伝道師っぽい人間を絞め殺すとこの、猿3人のドン引きしてるのが本当にアチャー感でそこも記憶に残った。