kikajima2

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦のkikajima2のレビュー・感想・評価

5.0
ナチスの焚書を見て1人涙を流すエルザ、ああいう瞬間が良い。

崖から落下する戦車からインディが助かる瞬間が空白なままなの、前は単にコメディ的な要請だと思っていたが、改めて観ると、「奇跡」を起こせるような人間じゃなきゃ奇跡的な存在である聖杯にアクセスすることはできない、ということなのだという気がしてきた。

つまり、聖杯へ向かう試練はロジカルに解くことは可能であるものの、そのロジックに辿り着くのってそもそも奇跡じゃないの、というのはあり、また奇跡を起こす存在でない者が聖杯に触れると厄が訪れる(劇中では、それで2人の人間が死亡した)。ヘンリーの”Let go,Indiana”は、親子の感動的な場面でもありつつ、奇跡を起こす者に対する「執着を捨てよ」との呼びかけでもある(これは後の「光を得た」とのセリフから推測)。恐らくインディは手を伸ばせば聖杯を取れただろうと思うが、奇跡を起こす者であっても奇跡に執着したらマズイ、と言うのが彼の得た光による気付きの一部。
『レイダース』のラストの聖櫃も、生身で泳いで潜水艦に乗船したインディなら目開けてても助かっただろうとも思う。両作も結果的に良心的な所に着地して後世に残る名画になったわけだけど、もしアークの中身を目撃したり聖杯を持ち出したりしてたら、映画以上の何かに変貌していた可能性はある。
スピルバーグは「光」を得た人間なので直感でそれをやったらマズイ事になるというのを自覚できているから映画であることに留まったのだろうけど、ルーカスはそこを踏み越えたくなっちゃう人なので、彼の歯止めが効かなくなった『クリスタルスカルの王国』には巨大円盤が出た。
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