イチロヲ

ノストラダムスの大予言のイチロヲのレビュー・感想・評価

ノストラダムスの大予言(1974年製作の映画)
4.5
公害問題を調査している博士(丹波哲郎)が、体制側の棚上げ体質に反目しながら、人類滅亡の真相に迫っていく。五島勉の著作をベースにしている、「終末もの」映画。食人描写と被爆描写がNGのため、未ソフト化のままだが、VHS時代に輸入版が出回っていた。

予言の内容を簡潔にまとめてあるだけの原作を劇映画へとコンバート。地球上の怪異現象をセミドキュメンタリー調に描写しながら、予言の内容と符号させていく。前年度「日本沈没」の余波を利用する魂胆がミエミエだが、作品の完成度は劣っていない。

人類の前途を憂える博士が、常時マックス・ボルテージで口上を述べるため、「狂人を見ることの面白さ」が機能している。由美かおるのおっぱいサービス、密林地帯のカニバリズム、ド派手な都市破壊描写など、総合エンタメとして完成されている。

何よりも、坂野義光が全面協力しているため、「ゴジラ対ヘドラ」のテンションを正当に引き継いでいるところが興味深い。冨田勲の荘厳な音楽をバックにした、ドラッグ・ムービーの領域に入っている。
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