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遙かなる帰郷のzkty1006のレビュー・感想・評価

遙かなる帰郷(1997年製作の映画)
4.1
プリーモ・レーヴィ
アウシュビッツを生き抜きその収容生活を詳細に書き残した化学者。のちに作家。随分前のNHKのドキュメンタリーでその名と本の存在を知り「溺れるものと救われるもの」「アウシュヴィッツは終わらない」「今でなければいつ」など読み漁った。


ユダヤ人収容者を管理するのに同じユダヤ人の囚人を看守にして暴力的に支配させていたなど知ったのは彼の本だった。中でも一番印象に残っているのが「靴の話」。靴が人間の健康に著しい影響を与えること。。毎日の重労働の泥や石などが混ざった地面が足を傷つけていく。足が傷つくことによる体力の消耗についてのディティールが生々しく、靴が命を左右する過酷さと人間が弱っていく過程がリアルで具体的で苦しかった。本映画でもナチスが壊したものについて触れている。それは戦争という過酷な体験が人間から何を奪うかと同義で恐ろしい。


そんなプレーモ・レーヴィの名前をamazonプライムで見つけ、映画あるんだと興奮。内容は、ナチスから解放され故郷に帰るまでの物語。この原作を読んでいなかったけれど、いや〜帰郷も一筋縄ではいかなかったようで、、、


それからこの生還から40数年たって転落死。自死との説もある。一度ぐちゃぐちゃに潰された心。年月がたって、穏やかな日々を送っていたとしても、、、、自分だったら、どうなってしまうんだろうと考えてしまう。
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