ティンク

ドラゴン怒りの鉄拳のティンクのレビュー・感想・評価

ドラゴン怒りの鉄拳(1972年製作の映画)
4.0
★World Bruce Lee Classic開幕記念★
【過去作レビュー】
「『エンタメ』としてはブルース・リーで完結してる究極のブルース・リー映画」


日本初公開当時、小学生だった私は観にいくことができず、テレビや雑誌、中釣り広告の情報だけで体験していました。そんな断片的な情報だけでも十分、ノラ・ミャオにだけはやられていました。(本作では、デフォルトでコスプレですしね)

全編を観たのは、たぶん最初はテレビ放送、その後はビデオレンタルかなと・・。
今回、World Bruce Lee Classicで初めて大画面で鑑賞。

香港映画は特にだけど、日本含む世界各国色んなバージョンがあったりして、今回上映されているのが、国内初公開当時の内容とどれだけ差異があるのかはよくわかりません。
(日本独自のオープニングがついていたという記事を読んだことがあります。芸者ストリップのシーンはカットされていたとのこと。たぶんあったであろう東宝東和独自の日本語タイトル画面は配給元が違うので無いですが、それ相当の画面が出てきてちょっとニヤリ)

舞台は1900年台初頭の上海。日本が租界地としてた時期ですね。租界地とは、アヘン戦争のあとイギリスが始めた外国人居留地。自治権があり治外法権等もあったようです。日本も日清戦争のあと上海とかで設置していたんですね。そんな当時が舞台で日本人が悪役です。
租界地で日本がどれだけ横暴だったのかは具体的にはわかりませんが、後々、「エンタメ」作品の中で悪役として重宝され共感を呼ぶ程度にはひどかったんだと思われます。(最新作含め、インディ・ジョーンズの映画の敵がナチスだとやっぱり盛り上がるのと一緒)

同じ監督の前作では、ためてためてためてからのブルース・リーのアクションだったのですが、その反動か今作では序盤からさく裂します。日本人が嫌がらせに来たので、いきなり仕返しにいっての大乱闘ですから。ま、それが問題の引き金なんですけど。
その後は、やられたらやり返すの展開が続くのですが、基本個人のアクションが展開するのはブルース・リーだけで、あとはその他大勢が乱闘するシーンだけです。(ノラ・ミャオの戦闘も美しいんですけどね。もったいない)
なので、「エンタメ」作品として盛り上げるのはあくまでブルース・リーなんだよと主張してます。

アクション以外のコミカルな変装シーン、ノラ・ミャオとのラブシーン等々、すべてが主役ブルース・リーの「エンタメ」映画としてベストなんじゃないでしょうか。

ブルース・リーは、この作品のあとはもう、「ドラゴンへの道」「死亡的遊戯」と、ジークンドー含めブルース・リー本人の思いのたけを展開していく映画になっていくので、ベタなエンタメ要素は減るんですよね。「~への道」では、コミカル要素はありますが恋愛要素ゼロですし、「死亡的遊戯」も残された情報を見る限り、戦いメインのタイトな内容だったようです。
「燃えよドラゴン」? 確かにハリウッド資本のエンタメ映画でブルース・リー主演映画ですけど、タイトルロールはジョン・サクソンと並列だし、お色気担当もジョン・サクソンですしね。流行りなので黒人映画の要素も取り入れているし。ブルース・リーだけに絞ってみれば、妹と少林寺に関する粛清でしかないんですよね。

ということで、ブルース・リー本人で『エンタメ』要素すべてが完結している究極のブルース・リー映画だと再認識したわけです。
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