ひでぞう

スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイドのひでぞうのレビュー・感想・評価

4.6
「現実」と「虚構」はどのように捉えられるのか、「真実」と「虚偽」はどのように現れるのか。映画は、そうした問題をどのように切りとり、描くことができるのか。「歴史的名作」が、バラバラに解体され、ジジュクの視点と問題意識によって、いくつものシーンとシークエンスが組み合わされ、再構成されていく。なるほど、なるほど、騙されたような、「真実」を告げられたような、不思議な気分になる。どちらにしても、無性に、映画が見たくなる。今度は、解体されたものとしてではなく、それぞれの「歴史的名作」をその物語の作法によってきちんと見たくなる。
 かつて、フランク・キャプラが、敵側である日本のフィルムを使って、「汝の敵、日本を知れ」をつくったように、こういう仕事には、抗えない魅力がある。以前に、ジジュクの「倒錯的映画ガイド2 倒錯的イデオロギー・ガイド」で、ジョン・カーペンター監督の「ゼイリブ」の見方には、とても感心したが、やはり、この作品でも、触発されるものがある。
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