TaiRa

はるか、ノスタルジィのTaiRaのレビュー・感想・評価

はるか、ノスタルジィ(1992年製作の映画)
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これはヤバい。ロリコン趣味に自覚的な映画なのにそこに突き進んで行くんだもん。基本的にヒッチコックとかヴィスコンティとか宮崎駿とかと通じる変態おじさんの映画なので、観る人によってはかなりキモいと思う。ていうかかなりアウト。

それでもやっぱり幻想しか愛せない中年男の悲哀と半ば狂気じみた少女への執着は観ていて面白い。迷宮のような歓楽街も出て来るから、要するに過去の迷宮の中で彷徨う男を助けてくれるアリアドネ的存在としてはるかがいるのかな、と。もう既に死んだ女がそのままの形で救いに来てくれるってのも『ファウスト』のグレートヒェンみたいな気がする。読んでないけど。尾美としのりがドイツ哲学語ってんのも関係あるのかな。はるかに遥子の真似をさせる場面はほとんど『めまい』的で怖いし、その後の「わたし、もう遥子でいい」の台詞もゾワっとするものがある。この話で3時間近いってのが一番怖いけど。

父親と一瞬だけ心を通わせたことを「人生に春があるとすれば、あの一日だけだった」っていうのが良い。拓ボンの表情で泣ける。
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