割とじめっと状態の良くない冬の朝
白い息に冬の喜びを感じることはないような世界で生きている主人公の男
彼はある日、いつも乗るはずの電車と逆方向行きに乗ってある海岸に行き着いた。
そこで彼は派手な髪をした女性と出会う。
記憶を忘却する
それがテーマなこの作品。
恋が終わりを告げ、愛の行先がどこにもなくなり苦悩する主人公は彼女との記憶を忘却することを依頼する。
そして、彼女も同じように依頼していたのだ。
この時点ですでに彼ら2人の間には特別な感情、愛というものが宿っていた。
しかし、すれ違いにより別れてしまったいま
もはや愛を捧げた代償しか残っていないと思っていた。
忘却する工程に入った主人公は、脳みその中で彼女との想い出を振り返る。
楽しい、笑った、はしゃいだ、イタズラした、バカをした、、
たくさんの思い出がある。
しかし、それら全てが自分ごとを消滅されるかのように消えていく。
そして彼は気づく。
彼女への愛、想い出というかけがえのない宝に。
記憶の中の彼女と共にその思い出が消えないように必死になって走り出す。
失って、失おうとして初めてその“大切さ”に気づく。
愚かだろうか、うん愚かだ。
だけど、それが人間だ
主人公のその人間らしさに惹かれるような映画でもあった。
決して失いたくはない
愛すべき彼女との日々。
目が覚めるといつもの味気ない毎日が始まろうとしていた。
駅のホームに立つ主人公。
ハッと思い出したかのようにいつも乗るはずの電車の逆方向行きに乗りある海岸へと辿り着く。
再び2人の男女は新しい恋を始めようとしていた。
しかし、彼らの記憶を失う前にカウンセリングした記録用カセットテープが車の中で流れてくる。
2人どちらもお互いを否定し、嫌うように、口が急いでいるかのように出てくる愚痴。
不安になる、お互いうまくやっていけるのだろうか。またこういう別れになってしまうのではなかろうか。
退屈な男と思われてもいいの?
いいさ。
彼らには愛がある。
それは記憶よりも強い。
忘却の過程で彼らカップルの回想シーンが流れてくるのだが
容赦なく彼らを消し去ろうとしていく。
2人はそれに必死に逃げ出そうとする。
だがそれは2人が選んだ道、
失おうとして初めてわかる大切さ
愛の尊さをうまく映像で表現されていたのが印象的。