ヤスミン・アフマド監督が遺した長編映画のひとつ、ずっと観たいと思いつつ観れずにいた作品で、皮肉にもアディバ・ヌールさんの追悼上映となったところで、ようやく観ることができた。
劇中ではたくさんの別れがありとても切ないけれど、どうしようもない悲しみも、愛が故に訪れるものとして繊細に描かれていて、序盤から象徴的に流れるクロード・ドビュッシーの"月の光"にはじまり、劇中で披露される数々の音楽に魅了され、深淵たる悲しみに沈みながらも、美しい旋律と優しい想いに癒されてゆく。
悲しみを抱える人あらば、静かに寄り添う人あり。
ことばを介さずとも通じ合う心と心。
わたしたちは愛を知っている。