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酔いどれ天使のadeamのレビュー・感想・評価

酔いどれ天使(1948年製作の映画)
3.0
三船が初出演した黒澤作品となった戦後の闇市を舞台にしたヒューマンドラマ。
酔いどれながら世話焼きの町医者と結核に冒された若いヤクザの物語です。
まだ20代の三船敏郎は男前なだけでない魅力あふれる演技で、痩せこけた終盤はまるでカリガリ博士の怪物のようになる落差も素晴らしいパフォーマンスでした。
反目し合いながらも突き放しきれない2人が交互に描かれますが、面白かったのはそれがいつかは重なって一本の線となるの定石通りの展開かと思わせておいてそうは簡単に美談とはならないところで、厳しい現実が突き付けられる後半は見応えがありました。
そして絶望で終わらせず一筋の希望をさすあたりに黒澤的ヒューマニズムが既に見られるのは興味深かったです。
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