WillowMarrais

ママと娼婦のWillowMarraisのレビュー・感想・評価

ママと娼婦(1973年製作の映画)
5.0
この空虚が空虚を食い尽くすまでの超絶傑作よ。

アレクサンドルの一見すると普通にモテているのだが、若さや知性やセクシャルでしか人を誑かすことしかできない虚無感。
しかし一人になることも選べず
何も選べない。選ばされる。
俺は何にだってなれる。何もないから。
そんな悲しみと絶望がこのフィルムを充満している。

そしてママと娼婦という極端かつ空虚な存在との三角関係がさらにその空虚に拍車をかけ
選択を拒む主人公に選択を迫る。
人生を選べ、と。
そんなことできるはずがないが
同時に失いたくない情と恐怖心と不安。
そのギリギリの綱渡り。
罵倒されまくる主人公に明日はあるのか。
ラストがやはり痛く文学的だなと思った。



実存映画としてシンプルかつ完璧すぎる。
また観たい。
WillowMarrais

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