浅野公喜

ベスト・キッドの浅野公喜のレビュー・感想・評価

ベスト・キッド(1984年製作の映画)
3.6
いじめらっれっ子の少年が日系人の空手の師匠によって強くなるラルフ・マッチオとパット・モリタ主演のスポ根ドラマ。ジャケットは今作を知るきっかけだった「笑い犬の冒険」のミル姉さんの紹介時に使われてた構えのポーズのVHS版の方が好きかも。

今観ると上映時間が長めな割にメインとなりそうな試合もその余韻も短いのが気になる所ですがワックスがけやペンキ塗りといった一見空手と関係無さそうな動作が実は凄く重要だった・・という点はもっと濃く描いて欲しかったものの確実にカタルシスを感じるもので、父親不在の少年とかつて太平洋戦争で妻子を亡くした師匠が人種を超えて無い物を補うように、親子のように結びつくのもドラマとして胸が熱くなるものが。

また、アメリカらしいマッチョイズムの価値観に倣ったキャラはいじめっ子達所属のコブラ会という悪役側に配し、童顔で線が細いキャラを主人公にしたというのは少年漫画等を読み慣れてる日本人としては新鮮味があまり無いですが感情移入出来ますし、未だに多い「強そうなものがやっぱり強い」的なフィクションに慣れてそうなアメリカ人にとっては地道な修行を含めそこそこ斬新だったのでは。

いじめっ子達もより傍若無人な師匠によって良心の呵責に苛まれる所も印象的な箇所。そして日本人としてはラルフ・マッチオ演じる主人公よりもパット・モリタ演じるミヤギ師匠の自分よりもずっと大柄なアメリカ人に対しても毅然とした態度を貫く姿に不思議なカッコよさを感じてしまいました(試合会場の関係者に日本語で「あなたはダメ」と言ってるのにエリザベス・シューが「あなたはいい人」と伝えてるのが笑える)。

「ロッキー」シリーズの「Eye Of The Tiger」や「Burning Heart」に隠れがちですがサバイバーによる主題歌「The Moment Of The Truth」もやはり良い曲。

譲り受けるフォード・スーパーデラックスが目立ってますが、ミヤギのコレクションの一台にはナッシュ・メトロポリタンが有ったり同級生達がアヴァンティ・コンバーチブルに乗ったりとちょっと凝った車種が登場。
浅野公喜

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