Laura

洲崎パラダイス 赤信号のLauraのレビュー・感想・評価

洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)
4.5
いわゆる赤線地帯のことを知ろうとすると映画を観るか専門書を当たるしかない。永井荷風が通った玉の井は戦前の東京の私娼窟の代表格だが、ここは空襲でほぼ壊滅してしまい往時の面影を知ることはほとんど出来ない。戦後になると売春防止法が施行されて風俗街そのものが公共空間から駆逐されてしまう。そういうわけで本作は現在の江東区に実在した歓楽街、洲崎の記録としてもたいへん興味深い。とはいえ実際の娼婦の仕事ぶりが描かれるわけではなく、洲崎の情景とそこに足を踏み入れた腐れ縁の男女の話がメインになっている。居酒屋の女将のエピソードがうまく差し込まれて、辛気くさい人情物をだらだらと見せられている感じはしない。80分という長さも良いのだろう。新珠三千代のしなやかな身のこなしと、冷ややかさと妖艶さを併せ持つ目つきもたまらない。
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