kazマックスグローバーレッド

ダブルボーダーのkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

ダブルボーダー(1987年製作の映画)
3.7
スティーヴ・マックイーン主演『ゲッタウェイ』の原作は、メキシコに逃亡犯を匿ってくれる王国がありそこを目指す主人公夫婦。しかしその実態は逃亡犯の金を巻き上げそいつらの肉を食すカニバリズム王国とのこと。その原作を脚色したウォルター・ヒルが今作の監督。

ダブルボーダーの原案はジョン・ミリアス、この人は頭はイカれてるけど好きだなぁ。元々『地獄の黙示録』として書かれたものだから、地獄の黙示録ではベトナムの国境を越えたカンボジアにカーツ大佐の王国があるように、ダブルボーダーではアメリカの国境を越えたメキシコに麻薬王国がある。そして地獄の黙示録ではカーツ大佐暗殺命令を出す時に「terminate with EXTREME PREJUDICE (極端な偏見をもって暗殺しろ)」ってセリフがあって、ダブルボーダーの原題が『EXTREME PREJUDICE(極端な偏見)』、つまり「殺せ」って事でタイトルが内容に凄く意味を持たせている。


映画の内容は、テキサスとメキシコを舞台にテキサスレンジャーと幼なじみの麻薬王とその2人に愛された女。そこへ書類上で死を偽装した特殊部隊の極秘作戦が絡んできて三つ巴の戦いに。三者が互いに銃を向け合う硬直状態シーンこそ無いけど、メキシコが舞台なだけにこれぞメキシカン・スタンドオフ。サム・ペキンパーの弟子筋にあたるヒル監督だけあって、男臭い友情、裏切り、ヴァイオレンスはしっかり継承しています。

死を偽装した軍人たちが何かを企てるって『ダイハード2』でもあったけどこっちのほうが先なんです。銀行に押し入るマイケル・アイアンサイドがストッキング相撲やってるのかと思わせるほどのブサイク面。ニック・ノルティは口髭とカウボーイハットでスタン・ハンセンのようだった。まぁテキサスだからほぼ全員そう見えるか。