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欲望のあいまいな対象の一人旅のレビュー・感想・評価

欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)
5.0
ルイス・ブニュエル監督作。

資産家の老紳士マチューと女中コンチータの可笑しな恋模様を描く。
経済面ではマチューがコンチータを圧倒しているものの、男女の関係になると立場が逆転してしまうのだ。
『こっち来て』『あれ取ってきて』『今日はヤりたくない』
コンチータの言葉にホイホイ従うマチュー。
マチューはコンチータとヤりたくて仕方がない。だからコンチータのワンコみたいに従ってしまう。これが男の性なのか・・・。マチューの気持ちは痛いほど分かるけど、客観的に観察すると男の行動ってのは何とも情けない。
一方のコンチータはマチューに対して思わせぶりな態度を取りながら、一向にヤらせてはくれないのだ。
同じベッドに裸で寝るのに、男女の営みは幾晩経っても許されない。
男としてはこれは拷問に近い。段々マチューに同情してしまった。
『愛し合っていればいいじゃない。セックスが無いとダメなの!?』
コンチータのこの言葉に、男と女の絶望的なまでの相違を絶望的に確信した。
そうか、そういうことか・・・。男は常にヤりたがる生き物だけど、女はそうじゃない。女はセックスの権利を男に“与えてさしあげる”側なのだ。つまり、男女の性愛において、主導権を握っているのは常に女だ。
てことは高収入の男を望むのは至極当然なことなのかも。女は男に性を与えているのだから、その代わりに男は経済面で女に貢献しろと・・・そういうこと?

鑑賞後に知ったことだが、コンチータ役をキャロル・ブーケとアンヘラ・モリーナという2人の女優が二人一役で演じている。どおりで可愛い系の顔になったり、アレ?こんな顔だっけ?って思う時がしばしばあったのか。
個人的にはスペイン人のモリーナの方が断然タイプです。
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