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ラヂオの時間のcinemakinoriのレビュー・感想・評価

ラヂオの時間(1997年製作の映画)
4.3



“宇宙で消息を絶つってことはそう事でしょう?”





何だか急に三谷幸喜作品が無性に観たくなり、恐らく25年ぶり(公開当初に観たっきり)くらいに本作を再鑑賞。


三谷幸喜初監督作品であり、原点にして頂点と言っても過言ではない程に面白いコメディドラマ。


言ってみればワンシチュ映画よね?これ。

ラヂオドラマの収録スタジオとチョロっと局内がほぼほぼ舞台の、いかにも三谷幸喜作品といった感じのドタバタ喜劇を、豪華俳優陣たちが楽しそうに演じているのが思いっきり伝わってくる。


冴えないカーセールスマンと夫婦生活を送っていた主婦が、パート先のパチンコ屋でたまたま出逢った熱海の漁師とイケナイ恋に落ちる陳腐な昼ドラ風のラヂオドラマの脚本家ミヤコを尻目に、声優陣たちの超絶自己中に振り回されるディレクターやプロデューサーたちによって次々と脚本や台詞が変えられていき、いつの間にか一大スペクタクルアクションへと発展してしまうハチャメチャな生放送の一夜を描いた舞台劇のような設定にもかかわらず、巧みなカメラワークや役者人たちの素晴らしい演技によって、当時としては斬新かつ新鮮な日本的コメディドラマ映画として確立されている所が流石!!


とにかくキャスティングが豪華。

井上順と藤村俊二の当時で既にベテラン枠の喜劇役者お二人の存在感や絶妙な“素”を活かした演技が堪らない!!


三谷幸喜監督は、日本人独特の間や礼節、文化や風潮、緊張と緩和を笑いに変えるのに長けた監督だと言う事が、本作で存分に知らしめる事が出来た初作にして出世作に異論なし!


因みに個人的に三谷幸喜作品(監督作品のみ)のTOP3を挙げるとすると(2023年時点)

1位 マジックアワー
2位 ラヂオの時間
3位 記憶にございません






“これは「おわり」じゃない、「おわりの始まり」でもない、「始まりのおわり」なのさ”
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