Kyun

ツレがうつになりまして。のKyunのネタバレレビュー・内容・結末

ツレがうつになりまして。(2011年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ラストの無理やりハッピー感以外、とても良い映画でした。病状はもちろん、鬱病になりやすい性格や生活環境、とても細かく描かれている。うつについて初めて知る人には良い映画かもしれない。うつファーストスタディという感じ。当事者よりも、そうでないすべての人に見て欲しい。周りの人のサポートの仕方の良し悪しがわかるから。当事者は、もしかして共感しすぎて辛くなっちゃうかもなので、落ち着いている時に。

暗くなりがちな話なのに、出演者、芝居、イラスト、セリフのテンポ、すべてがテーマをマイルドにしているのが秀逸。原作は読んだことないが、監督さんは上手に引き継いだんだろうなと思う。(本当はもっともっと深い闇だということも同時に忘れてはいけない)

堺雅人のうつの再現度がすばらしい。うつってある意味、世の中で一番表に出てこない、出てこれない人だと思うのね。うつ状態のドキュメンタリー映像とかもちろんないと思うし。だからこそ役作りが難しいはずなのに、話を聞いたりして、よく研究したんだろうなと思う。
特に、帰宅後「ごめんちょっと横になりたい」みたいなことを言ってソファに飛び込むシーンの飛び込み方がリアルすぎた。あれは、凄いと思った。あと劇中の話だが、言葉発するのさえも辛いだろうに、一言伝えてから飛び込むのがえらいなぁと思った。

また、治りかけが一番気をつけなきゃいけないのについ…というシーンは、ハッとした人も多いんじゃないかと思う。うつ状態の時は、普段なら気にならないような些細なことで、追い込まれてしまう。気を付けても気を付けきれないかもしれない。でも、気を付けないといけない。正直かなり難しいと思う。最大限ケアする大切さを伝えつつも、他のシーンで「合わせ過ぎない気持ちを持つこと」も伝えてくれていたのも良かった。

そして、宮崎あおいも可愛いが、堺雅人も超可愛い。行ってきますの確認シーンは大注目…。理想の夫婦像。私もこんな感じでお互いを認め合って支え合って生きていきたい。みんながこんなにやさしい世界になればいいのに。

最後に、伏線を回収した風になってた梅沢富美男のエピソード。あの繋がりは…さすがにフィクションだよね?笑
あの設定を私なりに解釈すると、梅沢富美男は躁鬱の躁状態で、怒ることしかできなかったからクレーム電話を入れてたのかな?
でも躁鬱と鬱はまた症状や治療が別モノだから同じ映画で描くとは思えないし、そうじゃないなら、なんでわざわざ講演を聴きに来て、お礼を言うんだろう。
もしフィクションなら、別にいらない設定だったかなぁ。

終始、つらさ半分、そうだよねヨシヨシという励ましの気持ち半分で、微笑みながら泣くという不思議な感情移入をしながら見ていました。

たくさんの人に見てもらえたらいいな。
Kyun

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