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甘い生活の盆栽のレビュー・感想・評価

甘い生活(1959年製作の映画)
4.4
巨大都市ローマで見つける幸と不幸


レビュー1300本目に選んだ作品は、大好きなフェリーニ作品。
今回フェデリコ・フェリーニ監督が世に放ったのは、監督自身のルーツに別れを告げたフェリーニ代表作。主人公マルチェロを演じたマルチェロ・ストロヤンニのクールで粋なサングラス姿に魅了され、次々の彼の前に現れる美女達にも魅了されっぱなしの約3時間。

冒頭の巨大キリスト像がローマ上空を運ばれるシーン。トレビの泉でマルチェロと米女優シルヴィアの官能的な放埒さを表現したシーンなどなど。芸術志向の強いシークエンスを観客に押し付け、フェリーニの想像力にいつしか虜になっていく。それと同時に本作は、マルチェロの精神的な墜落、道徳心の欠如を描いており、出会いとは何なのかという普遍的な優れた社会風刺の効いた作品にもなっています。

フェリーニの次作『8 1/2』にも通ずる「祝祭」。作中に登場する人物達は常にどこか祝っている様子。『8 1/2』でも出てくる「人生は祭」という言葉は、フェリーニ作品には隣り合わせの存在なのかもしれません。人々がパーティで楽しんでいる一方、マルチェロは端の方でどこか死んだ目をしている。「生と死」、「騒音と無音」まさに「幸と不幸」の映像化を空虚な都市ローマにて繰り広げることに成功した傑作でした。映像でローマ観光にもうってつけの作品です。

「パパラッチ」という言葉の語源が本作だったということに驚き。
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