yoshimi

甘い生活のyoshimiのレビュー・感想・評価

甘い生活(1959年製作の映画)
3.8
「作家志望の夢破れて、今はしがないゴシップ記者のマルチェロは、豪華なナイトクラブで富豪の娘と出会い安ホテルで一夜を明かす。ハリウッドのグラマー女優を取材すれば、野外で狂騒し、トレビの泉で戯れる。乱痴気と頽廃に支配された街ローマ。同棲中のエンマは彼の言動を嘆く。二人で訪れた友人スタイナー一家の知的で落ち着いた暮らしぶりを羨むマルチェロだが、彼らも子連れの無理心中で突如死に、残るは絶望の実感のみ……。F・フェリーニのカンヌ映画祭グランプリ受賞作。」
(Yahoo映画あらすじより抜粋)

これが「生活」だと形容するならば、もうとうに生活は破綻してますよね。頽廃的で、ダラダラっとしたいやらしさを含む甘ったるいテイストの映画でした。マルチェロがなぜこんなにも富豪女優や有名女優からモテモテなのかはわかりませんが、頽廃的な中に含まれるセクシーさのようなモノを好む女性っているんだろうなぁ。浮気を繰り返されるたびに怒り狂うエンマも、その彼の魅力にとりつかれている一人。

決して共感はできないけれど、スタイナーの台詞長回しのシーンには哲学を感じました。甘い生活における不安定さが、この映画のテーマなのかな、と。

「時々夜になると、暗さと静けさがつらい。平和が恐ろしい。何よりも平和が怖い。見かけは平和でも裏に地獄があるようで。子供の未来を考える。未来は明るいというが、見方によっては電話一本ですべてが終わるかも。情熱や感情を超えた所で、芸術の調和に生きるべきだ。魅惑の秩序の中に。互いに愛し合い、時間の外で生きるべきだ。超然と。」
(スタイナー)

3時間ほぼ同じ甘いループ映像を観続けられたのは、きっと映像美術、芸術のおかげでもあると思う。中でもお城でのパーティーシーンがきらびやかでとても良かった。
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