(35mm)
額面通りに受け取ると拝金主義を全肯定する無配慮な映画だが、アイロニカルな視座が入り込み力技で卓袱台をひっくり返している。(とはいえ、ちゃんと元通りにするお行儀の良さはもったいないが。)
美術にも力が入っていて、画作りのセンスが良い。
フランキー堺扮するサラリーマンが謳う出世への努力はあまりにも空虚であり、高度経済成長自体が当時の日本人の成果などではなく、たまたま世界的な好景気に乗っかっていただけの可能性を示唆してくれる(作詞は谷川俊太郎)。
何かに似ていると思ったら『不適切にもほどがある!』だ。
煙を出すスチームアイロンに吠えまくるプードルと、中盤のミュージカルパートが面白すぎた。
東京オリンピックのポスターとして掲げられる日の丸と、昭和天皇のように飾られるリンカーンの肖像。
サラリーマンが次々と工事現場の穴に落ちていく描写も凄い。
圧巻のフィナーレに拍手が起きる令和六年華金の夜。