Yoh

モーターサイクル・ダイアリーズのYohのレビュー・感想・評価

4.0
2004年公開、制作総指揮にロバート・レッドフォード。

チェ・ゲバラと聞くと、自分は人間の尊厳とか革命とかカリスマとか連想してつい気負いしてしまいますが、本作でそれを意識することは終盤まであまりありません。代わりに思ったのは、これが(ツアー旅行とかではない)「旅」を通じて青年が自己を確立していく、そういう映画だということ。ロードムービーとしては割と凡庸かもしれません、しかし旅をしたことのある人なら思わず頷いてしまうエピソードもちらほら(旅の動機とか、彼女のところで滞在日超過とか)。だからこそ、そういうエピソードが積み重なりながら、この身近にいそうな主人公が終盤になって自覚していく、「チェ・ゲバラ」になっていく様に感動するんでしょう。あぁ、本作では結末こそ「チェ・ゲバラ」だったけど、自分もこうだったなと。旅を通して変わっていったなと。だから終盤のモノクロ映像や遠くを見る老人のカットを観て感じ入るものがあるんでしょうね。

旅に出たことのある人に、そしてまだ旅に出たことがなくて、閉息しきってる人にも。自分も旅に出たくなりました、フラスク片手に。
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