akqny

モーターサイクル・ダイアリーズのakqnyのレビュー・感想・評価

3.7
ゲバラの青年期を描いた作品。

旅は様々な学びをくれるけれど、それを対等な目線で、行動で示すことのできる人は少ないのでは。

たとえば途上国と呼ばれる地域で恵まれない現地の生活を前にした時、哀れみの情を抱くとする。その哀れみは日本人としての立場から発した情であって、現地で生きる人たちはそんなこと思いもしないくらい必死で日々を生きているかもしれない。日本人であることからかえって自然と目線は上からだったりして、勝手にこちらの想像上の哀れみを抱く。ある人はそれを人々の善意に昇華させる材料として利用したりもする。

ゲバラはアルゼンチンの大学で医学を学ぶいわゆるエリート学生。おそらく彼も初動は哀れみからだろう。しかし彼はその哀れみを自分の善意に昇華することなく、現地に留まり彼らと対等な立場で接した。その現場主義的な価値観はのちにキューバ革命を成功させてからも変わることなく、カストロがお手本のようなリーダーであるのに対し、世界各地を飛びまわり、泥臭く革命家として生涯を終える。

旅はいいものです。が、その行為と学びがただ単に哀れみのような感情に留まらないように。この映画を見るとそんなことを自戒のようにふと思うのです。



あといつも思うことなんですが、ガエル・ガルシア・ベルナールの圧倒的主人公感すごい。。
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