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ハリー・ポッターとアズカバンの囚人のtakのレビュー・感想・評価

3.5
これまで避けてきたハリー・ポッターに挑む、第3作目。主役3人がもはや子役とは言えないティーンエイジャーに成長してるし、物語もハリーの両親の死の真相へと近づくサスペンスに、描写もこれまでにない不気味な雰囲気。これから先の魔法使いの戦いに向けて、だんだんとシリアスなムードに近づいているのだろうな。

おばさんの意地悪に耐えかねて禁を破って魔法を使い、ダーズリー家を飛び出す冒頭から、これまでにない物寂しい空気が漂う。さらにホグワーツへ向かう列車では吸魂鬼に襲われるし、学校は学校でマルフォイくんはますます嫌なヤツになってるし。2作目までの気楽に楽しめるムードは感じられない。

でもハリー自身が自らのルーツに迫ることにフォーカスしたストーリー展開で、学校のエピソードが少なくジュブナイル感が希薄になっただけ、物語に集中できる感覚がこれまでとは全然違う。かなり大人向けになった印象だ。それでも守護霊の呪文や空飛ぶバックビーク、忍びの地図、逆転時計が登場してハリーたちが活躍する様子は、これまで通りに観ていてワクワクさせる。この辺のバランスが人気作になっている理由なのかな。

前2作で監督を務めたクリス・コロンバスは製作にまわり、監督はアルフォンソ・キュアロンにバトンタッチ。キュアロン監督はこの作品の後、「トゥモロー・ワールド」「ゼロ・グラビティ」「ROMAローマ」と快進撃が続く。独特のカメラワークや編集、構図はここでも健在で、螺旋階段を映すだけなのに、引き込まれるような感覚になれたり、逆転時計を使うシーンでは大時計の中をカメラが通過するワンショット撮影に見えたりするテクニックが駆使されている。
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