ソルティ

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人のソルティのレビュー・感想・評価

4.2
これも何回目かの視聴。家に特典付きDVD全巻そろってます。(コンプリートボックスが欲しいところ⋯)

原作本が厚くなってきていて、映画で全てを網羅するのが無理になってきています。そのため、なくてもストーリーに無理がないところを削除していって、その結果生まれた矛盾点を色々修正している、という印象です。削ったせいで物語に深みが減ってしまった。「忍びの地図」の製作者が誰で、どういう経緯で、ブラックがどうして脱獄して学校周辺にいるのかとか、この辺の心情が描かれてないのが残念。あと、削っていったがために映画だけ見ても意味がわからないところが出てきたように思います。

映画には騎士バスに縮み首が出現。多分原作でもシリーズのどこかには出てくる気がしたが⋯。原作者ローリングがここで出すことを認めたらしい。このしゃべる生首は映画製作者達がお気に入りで、特典のインタビューにも司会者として登場させてる。

騎士バスで言うならば、ハリーが自分を「ネビル・ロングボトム」と名乗ったり、車掌のスタンの訛り?ちょっと頭が悪い喋り方?話の内容も軽薄な感じだけどそこが少し足りなかったかな。あと行き先は「ロンドン」しか言わなかった。だってハリーが「漏れ鍋」に行こうとは思わないでしょう。それはコーネリウス・ファッジが待ち構えていて、部屋も取っておいて、夏休み中はここで過ごすように言ったから。

スニーコスコープはハリーがバーノン家にいる時ロンからの手紙と一緒に送られてきた。エジプト旅行のお土産兼誕生日プレゼントだったようだけど、映画ではホグズミードに行ったロンからのお土産ってことにしたみたい、それも未公開シーンに入ってただけだから、その存在はなくなってしまった。

ホグズミードのパブ「三本の箒」では未成年が入れないという決まりはなくて子供でもバタービールは飲んでもいいようでした。だから3人で飲んでいて、そこへコーネリウス・ファッジ、マクゴナガル先生、ハグリッド、三本の箒のおかみマダム・ロスメルタでシリウス・ブラックについて語った時には3人で聞いていたんだけど、映画ではハリーだけが透明マントで中に入って聞いたことになっている。

映画では最後に「ファイアボルト」がブラックからハリーに送られるが、原作では中盤に送り主不明で届けられる。それをブラックであると予想したハーマイオニーがマクゴナガル先生に言いつけて呪いがかかってないか調べるために取り上げられてハリーとロンが怒ってハーマイオニーと口をきかなくなるという一件がある。
ブラックが最後に送ったものは、ホグズミードの許可証とまめフクロウ。ネズミがいなくなった代わりに飼ってほしいと。

あとルーピン先生に、人狼になっても人の心を保っていられる薬を作ってあげてたのはスネイプ。

グリフィンドール寮にブラックが侵入したくだりはだいぶ端折られて、ネビルが合言葉をメモした紙を落とした、というのは未公開シーンとして入ってた。

そういえば今回、マルフォイのしもべのゴイルの姿が少ない!原作でも映画でも特に記述がなくても必ず3人で行動してるのに、今回ゴイルの代わりに違う子がいるんですよね。映画の方だけです。

暴れ柳の秘密。叫びの屋敷の秘密。この辺りの真相を話すシーンはかなり端折られてて全てが語られてない。ここはもう本で読まないと。かなり肝心なところなんだよー。スネイプが気絶したまま魔法で宙を浮いてホグワーツまで戻ってきたとか、ペテイグリューも縛られて連行されたとか。ただ映画ではここでスネイプが気がついてみんなのことをかばった、というのは良かった。しかしこれを原作に入れるとあとからスネイプの行動が辻褄合わなくなってくるから、映画で色々端折ってればその行動ができる、ってことかな。スネイプがルーピン先生に薬を作ってあげてる割には態度が優しくないので何かあるとは思いましたが、過去にあった勘違いからです。お互いに好きじゃなかったから勘違いを正さなかったんですね。そういうとこも映画では残念ながらないです。

映画では時間を戻したあとの行動が結構目立って描かれてますが、私は最初のターンの真相を語る方が重要だと思う。2回目のターンは確かに救わなきゃいけないし成功させなきゃいけないのでハラハラですけど。このターンでシリウスを助けた時に映画では少し話す時間が合ったけど、原作ではほとんどなかった。すぐ逃げなきゃならなかった。これは映画の方が余韻があっていい。

いつものように細かい小ネタは映画では出されない。この話とこの話のつながり部分が違うとかはあります。でも映像は映像でとてもいい。ハリー、ロン、ハーマイオニー、同級生たちの成長が見れるし、3年生で13歳だから、制服の着方や髪型、そういうのも気になってきたりする年頃。異性もちょっと気になってくる。そういうのもおもしろいし。
特典も良かったです。出演者のインタビューとか制作の裏側とか。

長々語ってしまいました。その気になればもっと語れます(笑)。
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