ともぞう

ゼロの焦点のともぞうのレビュー・感想・評価

ゼロの焦点(1961年製作の映画)
3.6
結婚したばかりの夫が失踪。それを妻が金沢まで追う。そこには悲しい女たちの人生があった…サスペンスの王道のようなストーリー。さすが松本清張。ただ、映画としては短い尺に圧縮しないといけないから、中盤からは駆け足に。謎解きは崖の上で久我美子がひたすら話してる印象。鵜原健一と曽根益三郎が同一人物だと気付くのも唐突だったし。でも、終戦時に不遇な境遇にあった女性がせっかく掴んだ幸せを失いたくないと願った灰色の感情と能登の海と空が上手くマッチしてたと思う。

〈あらすじ〉
鵜原禎子(久我美子)は新婚7日目に、社用で金沢へ旅立つ夫・鵜原憲一(南原宏治)を上野駅まで送っていった。それが、禎子が夫の姿を見た最後になってしまった。憲一はある広告社の金沢出張所長だったが、結婚を機会に東京本社に栄転となり、今度は後任の本多(穂積隆信)と事務引継ぎをするための金沢行きだった。予定の12日をすぎても憲一は帰ってこなかった。11日の夜、金沢を発ったということなのに。会社で憲一の同僚を事情調査に金沢へ派遣することになったので、禎子も同行することにした。しかし、憲一が金沢在任中に暮らしていたはずの下宿の所在さえ分らなかった。憲一が親しかったという室田耐火煉瓦の社長の室田儀作(加藤嘉)を訪ねた。室田も、夫人の室田佐知子(高千穂ひづる)も禎子を慰めてくれるだけで憲一の失踪については心当りがないという。手がかりが掴めないので、禎子は一旦帰京した。後のことは義兄の鵜原宗太郎(西村晃)が金沢へ来たので任せることにした。禎子は憲一が広告社に勤める前に1年半ほど立川署の巡査をしていたのを知った。憲一が風紀係としてパンパンの取締りに当っていたのも分った。禎子にはすべて初耳だった。金沢にいた宗太郎が死んだ。青酸カリ致死量による中毒だった。禎子はこの事件が憲一の失踪に関係があると思った。犯人がパンパン風の女だということは、憲一が風紀係だったことに結びつく。禎子は室田の会社を訪ねた時、受付にいた女がパンパン独特の癖のある英語を使っていたことを思い出した。室田の会社へ行ったが、その女、田沼久子(有馬稲子)は3日ばかり前から休んでいるということだった。久子には曽根益三郎という内縁の夫があったが、12月12日に死亡しているという。憲一が失踪した日だった。曽根の生前の住所は能登の高浜町であった。禎子は高浜の町へ赴いた。曽根とは他ならない憲一であった。憲一は佐知子の秘密を握っているために殺されたのだった。佐知子は憲一が風紀係をしていた頃パンパンをやっていたのだ。今は名士となった彼女は、秘密を知る憲一を、秘密をかぎつけた宗太郎を殺したのである。禎子と佐知子は能登金剛の断崖で対決した。
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