ゼロの焦点の作品情報・感想・評価

「ゼロの焦点」に投稿された感想・評価

kadocks

kadocksの感想・評価

4.0
ずっと観れていなくて憧れの作品だった。

芥川先生の曲がヒッチコックし過ぎていて笑ってしまうのは置いておいて笑
野村芳太郎監督は完全に作りを独白式のハードボイルド映画をなぞっており、シーン一つ一つの作りが非常にスタイリッシュ。実はという真実の映像と想像上の映像の関係の作り方も非常に上手い。
演技指導も丁寧で、リアリティがあるので観客を思わぬ真実に引き込むのだ。
能登の崖との関係性は確かに言われてきているようにこれまた完璧。松本清張による北陸のイメージはこれで決まったのだろう。
すごい人だ。

久我美子に有馬稲子が若く美しい。有馬稲子は東京暮色のイメージが強いけど良い女優だったんだなぁ。
橋本忍だけじゃなくて山田洋次も脚本に名を連ねていた。驚き。
♪ 悲しみの果てに 何があるかなんて
  俺は知らない 見たこともない

原作:松本清張
監督:野村芳太郎
『砂の器』や『鬼畜』と同じ組み合わせということで、期待値高目で臨みましたが…うーん。正直なところ、微妙な仕上がりでした。

何よりも主人公の独白が不要なのです。
確かに状況説明があればテンポは良くなりますが、情緒的な味わいは消えてしまうわけで。折角の“能登半島雪景色”という情念豊かな素材が活きていませんでした。

また、失踪した《夫》を捜す物語ですが、真相が究明されても彼の心情が分からないので中途半端な着地点。もう少し、想像できる材料があれば良かったのですが…(それとも僕が見落としただけ?)。

ただ、物語の向こう側に転がる素材は一級品。
戦争の爪痕が人生を狂わせていく…そんな哀しみが岸壁に叩き付ける波飛沫のように、生まれては消え、生まれては消え。

そう。誰もが生きるために一生懸命。
激流に巻き込まれて手を伸ばした先に“邪魔者”がいれば排除する…それは“本能”として当然の行為。

だから、やりきれないのです。
肋骨の間がシクシクと痛むのです。

その必死さが物語に一本の軸を与え、容易に断罪する世間への苛立ちを感じました。さすがは、幾度となくテレビドラマ化されたほどの名作。原作に触れたくなりましたよ。

まあ、そんなわけで。
昭和の風味が色濃い物語。
日本海の曇天模様を感じ取るには白黒映画が一番なのかもしれませんね。昭和らしい演出に抵抗が無ければ、時代を味わうように鑑賞したほうが楽しめると思います。

最後に余談として。
新潟県の糸魚川市から石川県まで自動車で走ったことがありますが、その道中はとても印象深く。時刻が夕暮れだったのも相俟って、とても寂しく感じました。なんで日本海側の空気って凍てつくように厳しいのでしょうか…。
野村芳太郎監督作品。原作は松本清張です。
広末涼子主演の方ではなく、久我美子主演の1961年版。主人公の禎子は、新婚後間もなく金沢に出張に行ったまま行方不明になった夫の行方を追うため金沢へ向かい、そこで夫の隠された過去を知っていくというサスペンス映画です。
白黒映画だし、演技的な部分で時代の古さを感じるものの、面白く見れました。ラスト断崖絶壁のシーンの元祖とも言われてるみたいですね。
ゴールデンウイーク後半戦で懐古ミステリーで、野村芳太郎の名作を。
崖ミステリーの元祖の言葉も多いでしょうが、自分は女性ハードボイルドの元祖ではないですかね。
モノローグを中心に、失踪した夫の軌跡を巡り、真実を求め彷徨する姿に、おーカッコいいと引き込まれました。
引きのショットや人物配置のスタイリッシュさ、ドラマとして凡庸な対面カット割りではなく、視線を合わさない演出も、ハードボイルド感を盛り上げてました。
やはり傑作には理由があるということで。
久しぶりに。音楽が芥川也寸志 で、脚本が橋本忍と山田洋次。久我美子の気品ある美しさ、高千穂ひづると有馬稲子のはすっぱな美しさにまいりました。断崖サスペンスの元祖ですな。
mie38

mie38の感想・評価

3.6
誰にも知られたくない過去..
自分の知らない夫の過去..
面白かったです。
ルー

ルーの感想・評価

3.5
松本清張のこの作品は当時の世相がたくさん感じることができる.
きっとミステリーの結末は海の絶壁というスタイルもこの作品からかもしれない.
冬の金沢、日本海の荒れた海、女性たちの地位や過去、そして芥川也寸志の音楽が大変美しい.
序盤に登場する新婚の住まいも、きっと団地やダイニングテーブルとエリートの象徴だったのかと.
それだけに過去を持つ女性との結婚などは今とは掛け離れたあり得ない事なのかと…それを感じながら観るとこの作品のミステリーの展開に感情移入しやすいと思う.
この人の世のあまりのも捉えようのないほどの深い奥行きとその広さは、あたかもそれはこの北の海の底しれぬ深さ無限の広さに似ていると言えばよいのだろうか。。。
主人公が憲一サンに惹かれて結婚しようと思った理由が1ミリも見えなかったり、独自の聞き込み捜査で見せる謎のフットワークの軽さ等が難点だけど、桟橋の上のシーンはやはり感動的
撮影がすんごい寒そう

2サスのクラシック的作品
久我美子が金沢の土地をしなやかに、疑惑究明のために巡る。
野村監督サスペンスの音楽が大好き!
一気にああまた始まってしまったんだな…って分かりやすくワクワクドキドキさせられる。もはやパブロフの犬状態。

久我美子とサスペンスの神妙な緊張感の合わせ技。
久我美子の持ち味が見事に生かされてるなあ。
久我が崖で風に吹かれてぐらぐらと揺れてる不安定な描写と言ったら素晴らしい!

内縁の妻、という切り札の怖さをここまで感じたことはなかったかも…人間の感情のもろさ、危うさ。
人間は秘密だらけで、その秘密によって自分で自分の首を絞める。
時には他人の首も締めかねない。

能登、不気味だけれど美しい。
舞台になった加賀屋旅館は今も営業中とのことで行ってみたくなる。

加藤嘉はまたしても良い演技!
てかもう素晴らしい加藤嘉しか見たことない。
主役じゃないのに目に焼きつきすぎる。
野村作品には加藤氏は無くてはならない。

金沢が舞台でありながら、まったく違う場所に事件が根ざしているのもさすが一癖あるなーって感じ。

余りにもあっさりと犯人が認めちゃったのは少し残念だけれど、崖の上でのシーンはかなり印象的で繊細なタッチ。

犯人も関係者も、皆人間味があってどこか憎めないのがまた松本清張クオリティ。
人間を人間らしく描く。

「人間の奥行きの広さ」‥あれば深みの出る良いものだが、扱いを間違えるととんでもないことになったりもする、そんな作品。
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