アノ

ライアンの娘のアノのレビュー・感想・評価

ライアンの娘(1970年製作の映画)
3.5
アイルランドの冷ややかな大自然の描写が圧巻。
海が静かな時は驚くほど美しいのに、嵐が来れば途端に恐ろしいものとなる。

キリスト教色が強く比喩的な描写が多いので、話のすべてを理解出来たわけではないのだけど、
ローズがマイケルにキスをしたシーンはぐっと来た。
勲章をつけてローズにアプローチをかけるマイケルなどの前振りの効果が抜群。

もう一つ、父親とローズの最後の語り。
プリンセスと呼んで可愛がっていた娘を保身のために売ったことを悔やむ父親と、
それを知っても尚許すローズの親子関係。
父を「虫も殺せない人だと分かっていたから」と慰めるだけで、お互いに事件のことには触れない。
罪の告白も娘を引き留めることもできない父の弱さと、何も責めずに許せる娘の優しさ。
心にしみるワンシーンだった。

概ね良い作品だったのだけれど、音楽だけはどうにも受け付けなかった。
シリアスなシーンでポップな伴奏をつけるのはどんな意図があったのか分からない。
ローズと少佐の逢い引きを夢想する場面なんて失笑モノ。
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