ライアンの娘の作品情報・感想・評価

「ライアンの娘」に投稿された感想・評価

3時間30分という長さはそこまで長くは感じなかったんだけど…

それでも題材に対して、これだけの大作にする必然性があったのかという違和感はどうしても拭えない。デビッドリーン監督の中に「アラビアのロレンス」や「ドクトル・ジバゴ」級のスケールの作品を作らなければならないという強迫観念みたいなものがあったのでは?と邪推してしまう。

一番疑問だったのはいわゆる不倫関係に陥るまでの唐突さを始め尺の割には細かい心理描写の弱さ。

反対に嵐のシーンはさすがのスケール感で、いざというときには一致団結して強力する美徳の反面、強硬に一部の人間を排斥しようとするコミュニティーの愚かさを生々しく描いている。
リンチのシーンは見てられなかった
父親も止めに入らず、しかし直視できるわけもない……その姿にも苦しくなりました

一回見てからまた見直すと、想いを告げる冒頭のシーンが嘘みたいにきらきら眩しく見えます
1987年8月13日、銀座文化2のリバイバル公開で鑑賞。(前売券1200円)

デヴィッド・リーン監督作品。
お得意のロングショットが冴えている。
人間が米粒ほどに描かれるこうしたショットをとれるのは、この監督ぐらいだった気がする。

ただ、この映画、「不貞をはたらいた女性ライアン(サラ・マイルズ)に対するリンチ場面」が少し陰惨的でインパクト強過ぎる。
服を裂かれ、髪まで剃られる女性を見るのはツライ。
事前知識がなかったので、衝撃的であった。
下手なホラーより怖い。マイケルは憎めない。ながーい海岸は印象的。
茶一郎

茶一郎の感想・評価

4.2
 海岸、断崖絶壁、波打ち際の先に色彩を欠いた丘、そしてさらに先には寒々しい田舎の貧困村。この決して豊かとは言えないが、美し過ぎる完璧なロケーションだけでデヴィッド・リーンの映画を見ている最大級の至福を味わえます。
 舞台は1916年のアイルランド。反イギリス蜂起が失敗して間もなく、独立運動家はドイツから武器を密輸して再度、蜂起を試みていました。今作『ライアンの娘』は、革命の兆しが垣間見えるこの時代に、自身の愛を貫いたアイルランド人女性・ロージーと、彼女を受け止める二人の男性、一人はアイルランド人のベテラン教師チャールズと村を訪れたイギリス軍隊将校のランドルフ、この3人の三角関係を描きます。

 『戦場にかける橋』、『アラビアのロレンス』、『ドクトル・ジバゴ』と三連続の大作映画でゴールデングローブ・作品賞を獲得するなど絶好調のデヴィッド・リーン監督が、『アラビアのロレンス』、『ドクトル・ジバゴ』と続き、さらに『ドクトル・ジバゴ』ではアカデミー脚色賞を受賞するなど、これまた絶好調であった脚本家ロバート・ボルト氏と再びタッグを組んだ作品がこちら『ライアンの娘』。
 デヴィッド・リーン監督は今作において、大スペクタクル作品から抜け出した「感動的で個人的な関心をもとにした単純な物語」を目指す試みがあったという。その試み通り、この『ライアンの娘』は監督初期の大傑作『逢びき』と似たような女性個人の映画である一方、人物より「風景」、「風土」が語る監督の近作にも通ずるスペクタクル映画の要素も兼ね備えている作品に見えます。
 寒々しい閉塞的な環境と革命前後の終末感あるアイルランドを舞台に設定しておきながら、マイケル(演じたジョン・ミルズはアカデミー助演男優賞を獲得!)を筆頭とした豊かな登場人物、前述の美しいディングル半島のロケーションより、テイストはコミカルで明るい、清々しく感じられるような後味すら感じます。

 三角関係・不貞をここぞとばかりに攻撃する村人たち。閉塞的なコミュニティから剥き出しになる恐怖を感じながら、これは有名人の不倫や浮気、別居など第三者が関与すべきではない一線を越え、「他者の寝室事情」をネタとして消費しようとする今の日本のマスメディアと、そのネタを嬉々として受け止め続ける観客の構図と全く違いないことに二重の恐怖を覚えました。
 海岸沿いを画面から遠く離れていく二人の背中を見て、個人の感情、特に「愛」に合っているも・合っていないも、正しいも・正しくないも存在しないと思い知らされます。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

3.0
2015/5/15鑑賞(鑑賞メーターより転載)
といってもメジロドーベルの話ではなくw、独立機運高まる20世紀初頭のアイルランドを舞台に、古い慣習から抜け出したい女性の結婚そして若きイギリス人将校との禁断の恋がもたらす悲劇を壮大に描く、極めてデヴィッド・リーンらしい映画。ある意味ピュアな2人の関係が、舞台が集団心理が如実に働く田舎の古臭い集落であったが為にとてつもなく「誰にとっても救われない」方向へと進む。単なるスキャンダラスな不倫と言っても過言でないこの出来事をアイルランドの雄大な自然をバックに洗練された叙事詩に仕立てた監督の手腕に、また感服。
Tommy

Tommyの感想・評価

4.2
ダンケルク公開に先駆け、ノーランがダンケルク製作に影響を受けた11の作品リストを公開したうちの一つ。

こんなにも浜辺を美しく描いた作品は見たことない。荒れ狂う海岸、虚しさ漂う砂浜、哀愁漂うサンセット、海の画がどれをとっても一級品。この浜辺をノーランは参考にしたらしいけど、本当によくわかる。
でも、ノーランは多分民族精神というか、そういうのもきっと参考にしてる。ダンケルクをきっかけにこの作品知ったけど、さすがデヴィッド・リーンと言える名作。なんならアラビアのロレンスより好き。
Cisaraghi

Cisaraghiの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

1970年の巨匠デヴィッド・リーンの大作。というか、リーン作品には大作しかないのだろうが。身も蓋もなく言ってしまえば、アイルランドの寒村に住む欲求不満の若妻が、色男の傷痍英国人将校によろめく話(語彙が昭和過ぎる…)なのだが、さすがにデヴィッド・リーンなので話はそれだけに終わらず、大きくドラマチックな展開を見せる。

画面に写っている場所がすごい絶景。アイルランドの西南部・ディングル半島。海沿いの丘の上にある寒村(全てセット)。断崖の続く海岸線。丘から下りていくビーチ。海を背景に建つ石造りの小学校。バスを降りてきた人の後ろに写る輝く海と島。 
 デヴィッド・リーンはなんとフォトジェニックな場所を見つけたのだろう。時に荒れ狂う海。

アイルランド訛り、カソリックと神父さまの存在の大きさと近さ、反英感情、独立の歴史、子沢山、美しい海岸線を持つ緑の島であること、素朴な石積みの垣根、今も同じ失業問題、などなど。アイルランドについての基本的な事柄の多くはこの映画で学んだ。
 何より、アイルランドがいかに美しいところかを知った。

夜半、たくさんの白い百合の花が風に揺れるのが最も印象に残っているシーン。風の強さもアイルランド。

屈強な西部の男のイメージだったロバート・ミッチャムが演じるのは、年の離れた元教え子と結婚する中年の冴えない田舎教師。若い妻ロージーの不倫に感づいたチャールズが見せる大人の男の弱さと心の痛みが何ともたまらなかった。それでも窮地に陥った妻を見捨てないチャールズ。抑えた演技に胸を締めつけられる。 
 ロバート・ミッチャムの、それまでの確立されたイメージを覆す名演あってこその、この映画の忘れ難さだと思っている。

導入部、絶景に重なって、風の音と共に震えるように繊細なモーリス・ジャールのテーマ曲が始まる。One of the most beautiful pictures that I've ever seenと思わず英語になってしまう美しい音楽、美しい映画だ。

官能的な森の中のラブシーンも美しいのだが、差し挟まれる比喩的な自然描写があまりにもベタ過ぎて、今思うとちと惜しい。
 クリストファー・ジョーンズがこのシーンの撮影を拒んだので、サラ・マイルズとロバート・ミッチャムは共謀し、ミッチャムがジョーンズのシリアルに薬を盛ってジョーンズの意識を朦朧とさせ、何とか撮り終えた、という曰く付きのシーンらしい。

美しい作品ながら、リーン作品の中では残念なことにあまり知られていないこの映画、サラマイルズがもう少し有名な美人女優だったりすれば違ったのかな、と思う。その後出演した映画のイメージもあるのか、実は私もサラマイルズはわりと苦手。

ちなみに、この映画の風景、釧路から霧多布にかけての道東の海岸線に似たような雰囲気のところがある。夏の旅行先にお薦め。

唐突だが、ウォンビンがもっと年を取ったら、韓国で是非この映画をリメイクして、ロバート・ミッチャムの役をウォンビンにやってほしい。もちろん英国の代わりに来るのは日帝だ。
 日本では日韓合作ドラマでブレイクした演技力のあるウォンビンに相応しい映画であり、役だと思うのだが。余談にもほどがあるな。
アイルランドの寒村キラリー。荒涼とした自然と、閉鎖的な風土。

年の離れた教師の夫を愛しながらも、性的に満たされない日々を送る人妻と、敵対する英国将校との禁断の恋…。

昼メロの様なストーリーだが、巨匠デヴィッド・リーンの奥深いヒューマンドラマ。

夫チャールズが若妻ロージーに見せる懐の深さと諦めの入り交じった姿が、何とも言い難い悲哀を感じさせる。

人格者である大人の男と情熱的で過保護育ちの女の、夫婦間の相違。

アイルランド独立運動と、阻止しようとする英国守備隊の対立。

傷痍軍人の守備隊長ランドルフの心の闇。

マイケル役、名優ジョン・ミルズの表情、動作のみの演技も素晴らしい。
秋月

秋月の感想・評価

4.6
心が洗われる映像美


物語の舞台は独立戦争が起きる前のアイルランドの田舎町だ。古い習わしを嫌う現代的な生き方をしたいロージーは年の離れた憧れの先生と結婚する。幸せな結婚生活~となるはずが、毎日同じ生活をすることに彼女は飽きてしまう。そんな時、赴任してきたイギリス軍将校(当時アイルランドはイギリス領であった)と不倫関係に陥ってしまう。アイルランド独立を望む人達はロージーを…

こんな感じのあらすじなのだが、この映画の上映時間が195分!!!
なげぇぇぇぇぇ~~!!!
ディズニーランドの待ち時間でもそんな数字見たことないわ…いやあるか、そんで普通に並ぶよね…ぅん

しかしそんな195分もあっという間に過ぎてしまう!さすがデヴィット・リーン!!さすがウォルト・ディズニー!!笑

アイルランドの絶景をとても綺麗に撮っている。海や花、パラソルが風に飛ばされるシーンはとても美しい。花粉が服に付く演出はどことなくいやらしさを醸し出すあたりも素晴らしい。嵐の中、荒れ狂う海の中へ入るシーンはどうやって撮っているのか?そうこう想っているうちに195分などすぐに経ってしまう。

そしてラストは奴に泣かされるとは…この映画を観てとても心が綺麗になった気がした。今度友人に薦めてみよう


友人『なんかいい映画ない?』

私「あのね!ライアンの娘っていう映画なんだけど…」

友人『えwwwジャイアンの娘wwww?』

私「殺す」