アノ

肉弾のアノのレビュー・感想・評価

肉弾(1968年製作の映画)
3.5
「貴様は一体」を繰り返す田中邦衛の台詞の省略を、レコードから針を外すカットを差込むことで表現するのには笑った。
「インテリ面した豚の一匹や二匹、牛の中では目立つまい」など凶悪な台詞が切れまくりの区隊長が、手榴弾一つにおびえすくむ様からは戦争の恐ろしさと人間の弱さ醜さが伝わる。

そんな地獄のような戦争の中で救いとなったのが「観音様」と評された古本屋の老夫婦と卯年の娘で、彼女らとの交流は鮮烈ながら心温まるものだった。
特に、廃墟となった街をグルグル回っていた主人公と卯年の娘がぶつかって再び合間見えたときの劇的な音楽の素晴らしさときたら。
家族の死んだ防空壕の中で、互いの命を確認しあうように抱き合う二人の切なさと激しさが最も印象的なシーンだった。
アノ

アノ