くまちゃん

ドラえもん のび太の日本誕生のくまちゃんのレビュー・感想・評価

3.7
世界各国で発生する失踪事件や神隠しの類は時空乱流によるものだと説明されている。なるほど。

子供の人権と、奴隷ではないと訴えるジャイアンに対する母の解答が
「奴隷みたいに働いてから言え」
子育てと仕事を両立させ、厳しさの中に深い愛情を持つMrs.剛田の人生哲学がここに収束している。

のび太が動物遺伝子アンプルで別々の動物を調合させ、空想上の生物を生み出したが、倫理的な問題どうなってるんだろうか。
動物を生み出し育て、別れる。
のび太の恐竜に通ずるある意味原点回帰であり、少年の成長をわかりやすく描いている。ただそこは補填的要素なため簡素。

家出をして町中を放浪することで、裏路地や電車など、他作品より日常感が際立ち、後に巻き込まれる非日常がより強く印象付けられる。
前作が作品に通底する「日常の中の非日常」というテーマを逸脱した内容だったため、今作は日常を強調した演出だったのかもしれない。

吹雪の中遭難したのび太が、睡魔により生死の境を彷徨うという深刻な状況において、夢想と極楽浄土の間で裁判にかけられる場面。わりとコミカルに描かれているが、そこでの死刑宣告は洒落にならないぐらい怖い。なぜなら死の一歩手前まで来てるから。
変な小箱渡す前に助けろタイムパトロール!
人命より職務を優先する悪徳公務員の片鱗を見た気がする。
くまちゃん

くまちゃん