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血を吸う薔薇のzoeのレビュー・感想・評価

血を吸う薔薇(1974年製作の映画)
3.7
「血を吸う」シリーズ3作目。1作目と2作目とは全体的にまた違った雰囲気があった。お屋敷も前作の二つとは洋風の感じや色使いが異なるものだった。

3作のなかで、一番出演者が多く、大学が舞台ということもあって賑やかな雰囲気のあるシーンもあったけど、それと同時に一番気持ち悪かったかな。血の量も一番多かった。

2作目同様、ストーリー性がしっかりしていて、恐怖と同じくらいその背景と過去にある物悲しさが伝わってきた。

シリーズ全てを観終えて、振り返ってみると3作ともその形は違えど、背景になんらかの愛があった。それ故に、必ず吸血鬼を倒した達成感や安心感みたいなものよりも完全なる死を迎えたその吸血鬼が抱える寂しさや悲しさがストレートに伝わってくる終わり方だった。

特に今作のラストはとても悲しかった。吸血鬼として人の血を食らい、長い間生き続けてきた罪深い生きものだったものの、そんな吸血鬼にも愛があり、愛がある故に罪を重ねながらもこうして生きてきたんだろうと。
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