垂直落下式サミング

スパイダー パニック!の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

スパイダー パニック!(2002年製作の映画)
3.8
暗さのないコメディタッチな語り口のモンスターパニック。劇中で巨大アリが人を襲う映画を子供がみているのだが、本作ではクモが巨大化する。
適度なスリルがあって、それと同じくらい突っ込みどころがあって、安っぽいフォントでタイトルがクレジットされる。あまり映画をみない人でもイメージとして認識している「B級映画の特長」に見事に当てはまる作品で、その内容も予想したものからはみ出すことはない。『○○アタック!』というジャンルには進歩してはならないという暗黙の了解があるようだ。何100人もクモに食われているのに、いっさいおかまいなしのハッピーエンドで締め括られるのが清い。
悪く言えば、その多くのシークエンスが形骸的で、B級映画の参考書があるとしたら、解答欄に答えだけ書き込まれたものを見せられたような印象をうける作品だった。ページの端に落書きのイラストでも書いてあれば面白いんだろうけど、予算の都合かそんなところにまで気が回らない。そのかわり手堅い作りで、異変、ピンチ、サバイバル、団結という展開はテンポが良く、それに至るまでのプロセスであるとか経過というものが丁寧に描かれている。
人間の殺害方法については、蜘蛛たちは顔に飛び付いて攻撃するばかりで、せっかく複数の種類がいるのに食われ方が単調。怪物の正体を謎のままにして引っ張る映画ではないのだから、追跡型ばかりじゃなくて、巣を作るタイプがいたり、ナワバリを作るタイプがいたりと、それぞれのクモの性質を活かして見せ場にバリエーションを持たせて襲ってくるのもみたかった。
スカヨハが、カーセックスをせまる彼氏のキンタマにスタンガンを押し当て電流をお見舞いするシーンはドM的にはポイント高い。後にブラックウィドウ(クロゴケグモ)になる彼女の巨乳エージェントとしての素養を垣間見ることができた。
『トランスフォーマー リベンジ』でもキンタマスタンガンはあったが、あれは相手がオッサンだったし痛い痛いと言うだけなので、じょぼじょぼ失禁まで描写しているこちらに僅差で軍配があがる。